悪い経済指標が並んで喜び上がる株価の不健全さ
今週は金融引き締め観測が後退している。
これは週末に有力誌で12月利上げが50ベーシスに下げられると報道されたからだ。
これによってドル金利は短期はそれほどでもないが、長期債の利回り低下は著しい。
10年ものの利回りは4.0%を割り込み相場レベルまで下がってきている。
これによって米国株は続騰している。企業コストの低下を好感したものだ。
また為替相場ではドル高にも一服感が漂っている。介入の効果もあってドル円は150円台に乗せず済んでいる。
またユーロドルも下攻めをしなくなった。
ユーロドルはアジア時間には利食い売りに押されたものの、ニューヨーク序盤ではドル金利の低下とともにドル安が進んだ。
久しぶりの0.99台の後半。そしてゆるまない。私もユーロドルをショートで持っていた時期もあったが、
さすがにこれだけ下がらない相場展開では、持ちきることはできなかった。
市場ではドル金利の低下を促すために、依然として経済指標の悪化で景気後退を見たいという希望が続いている。
そして注文通りに経済指標が悪いのが並んだので、シナリオ通りということで金融緩和観測が強まった。
株価が高くなるために景気後退を願うと言うのは、そもそも本末転倒なことである。
これも官制相場と言おうか、FEDが何とかしてくれるわいと頼り切っている証拠だろう。
果たして今回の金利低下観測が本物であるかどうか。
7月以来、定期的に出てくる利上げ幅縮小観測だ。
サイクリックなものだとしたら、再びドル金利の上昇は加速するかもしれない。
すでに利上げ開始から半年を過ぎてきて、金融政策の効果も現れ始める時期だというのに、
目立って雇用の逼迫感がなくなったわけでもないし、住宅価格が大きく下落に転じたという報告もない。
エネルギー価格は下がってきたとはいえ、高止まりしているにすぎない。